2026年4月24日

「健康診断の結果はA判定だった。でも、食後になぜか体が重い、耐えがたい眠気に襲われる……」 そんな経験はありませんか?

実は、通常の採血では見逃されてしまう「隠れ食後高血糖(血糖スパイク)」が、あなたの血管にダメージを与えているかもしれません。当院の糖尿病内科外来でも、「健診では正常なのに、食後のだるさがつらい」と相談に来られる方が多くいらっしゃいます。糖尿病内科専門医の副院長が分かりやすく解説します。
この記事でわかること
-血糖スパイク(食後高血糖)とは何か、なぜ健診で見つかりにくいのか
-血糖スパイクが動脈硬化や心血管疾患のリスクを高める仕組み
-今日からできる血糖スパイクを防ぐ具体的な対策
Q: 血糖スパイクとは何ですか?
A: 血糖スパイクとは、食後に血糖値が急激に上昇(140mg/dL以上)し、その後急速に低下する現象のことです。空腹時血糖値は正常でも起こるため、通常の健康診断では見つかりにくいのが特徴です。
「健診は正常なのに…」その油断が危ない
「空腹時の血糖値もHbA1cも正常だから大丈夫」──そう安心している方にこそ知っていただきたいのが「血糖スパイク」です。
血糖スパイクは、食後1〜2時間の短い時間に血糖値が急上昇し、その後急降下する現象を指します。空腹時に採血する一般的な健康診断では発見されにくいため、「隠れ食後高血糖」とも呼ばれています。
副院長(糖尿病内科)の外来にも「健診では正常だったのに、食後にひどい眠気やだるさが続く」というご相談で来院される方がいらっしゃいます。こうした方にFreeStyleリブレ(腕に小型のセンサーを貼る持続血糖モニタリング)を装着いただくと、食後に血糖値が180〜200mg/dLまで急上昇しているのが見つかることがあります。「数字で見て初めて実感しました」とおっしゃる方が多いです。
なぜ血糖スパイクは血管を傷つけるのか
食後高血糖(食事をしてから2時間後の血糖値が140mg/dL以上の状態)は、動脈硬化の重要な危険因子であることが分かっています(出典:e-ヘルスネット、厚生労働省)。
血糖値が急上昇すると、血管の内壁(内皮細胞)に酸化ストレスが生じます。この酸化ストレスが繰り返されることで、血管壁に慢性的な炎症が起こり、動脈硬化が進行します。
つまり、たとえ平均の血糖値(HbA1c)が正常範囲でも、食後の「急上昇と急降下」を繰り返すこと自体が、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるのです。
こんな症状はありませんか? ─ 血糖スパイクのセルフチェック
以下に当てはまる方は、血糖スパイクが起きている可能性があります。
・食後1〜2時間に強い眠気を感じる
・食後に頭がぼんやりして集中力が低下する
・食事の後に急にだるくなる
・夕方になるとイライラしたり手が震えたりする(反応性低血糖)
・炭水化物中心の食事(丼もの・麺類・パン)が多い
・早食いの習慣がある
これらは血糖値の急激な変動に伴う症状の可能性があります。気になる方は一度ご相談ください。
血糖スパイクを防ぐ5つの対策
1. 食べる順番を意識する(ベジファースト)
野菜・きのこ・海藻などの食物繊維を先に食べ、次にタンパク質、最後に炭水化物を食べる「ベジファースト」が効果的です。食物繊維が糖の吸収を緩やかにし、食後の血糖上昇を抑えます。
2. よく噛んで、ゆっくり食べる
早食いは血糖値の急上昇につながります。1口あたり20〜30回噛むことを意識しましょう。食事時間は最低15分以上かけるのが理想です。
3. 食後に軽い運動をする

食後30分〜1時間の散歩(10〜15分程度)は、筋肉でのブドウ糖の取り込みを促進し、食後血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。副院長は外来で「テレビのCM中に立ち上がるだけでも違いますよ」とアドバイスしています。30分以上座り続けると血糖値リスクが上がりますが、数分間立ち上がって軽く体を動かすだけでも改善が期待できます。
4. 炭水化物の「質」を選ぶ
白米よりも玄米、食パンよりも全粒粉パン、うどんよりもそばなど、GI値(グリセミック・インデックス)の低い食品を選ぶことで、血糖値の上昇が緩やかになります。
5. 朝食を抜かない
朝食を抜くと昼食後の血糖値が急上昇しやすくなります(セカンドミール効果の欠如)。忙しい朝でも、ゆで卵やヨーグルトなど手軽なタンパク質を摂ることが大切です。
当院での血糖スパイクの検査
通常の健診では空腹時血糖値やHbA1cしか測定しませんが、当院では食後の血糖変動を評価するための検査を行っています。
随時血糖検査:食後に来院いただき血糖値を測定。HbA1cも含め、結果は採血から約30分でお伝えできます。「結果が出るまで何日も不安に待つ」ということがありません。
75g糖負荷試験:75gのブドウ糖が入ったジュースを飲んで頂き、その後の血糖値の上がりやインスリンの分泌をみる検査です。どの程度血糖値が上がるのか、またインスリンの初期分泌の低下がないかなどと詳しく調べることができます。

FreeStyleリブレ(持続血糖モニタリング):腕に直径約3.5cmの小型センサーを貼り、最大14日間の血糖変動を「見える化」します。入浴中もつけたままでOK。副院長がデータを一緒に読み解き、「この時間帯に血糖が上がっていますね。食事の内容を見直しましょう」といった具体的な改善につなげます
ご相談はお気軽に!
「数値上は問題ないけど、食後の眠気やだるさが気になる」という方は、お気軽にご相談ください。当院ではFreeStyleリブレを使った検査で、健診では見えない血糖変動を可視化できます。副院長(糖尿病内科)と看護師が一緒に改善策を考えます。
詳しくは糖尿病内科の診療ページもご覧ください。
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次回のコラムでは、糖尿病専門医が「正しい運動療法」について解説予定です!
【参考文献】
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「食後高血糖」
- 日本糖尿病学会 編著.「糖尿病診療ガイドライン2024」第3章 食事療法. 南江堂; 2024.
- 日本糖尿病学会.「健康食スタートブック」
【執筆者】
部坂 有紀(へさか ゆき) 吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック 副院長
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
※症状には個人差があり、記載内容がすべての方に当てはまるわけではありません。
※具体的な治療方針については、必ず医師の診察をお受けください。