「透析になったら、もう旅行は行けない」と諦めていませんか?|吹田の腎臓内科 糖尿病内科|吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック

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「透析になったら、もう旅行は行けない」と諦めていませんか?

「透析になったら、もう旅行は行けない」と諦めていませんか?|吹田の腎臓内科 糖尿病内科|吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック

2026年1月29日

こんにちは。
「吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック」
院長の部坂 篤(へさか あつし)です。
 
外来で慢性腎臓病(CKD)の患者さんとお話ししていると、腎機能が低下してきた段階(ステージG4〜G5あたり)で、ふと表情が曇る瞬間があります。
 
「先生、そろそろ透析のことも考えないといけませんね…」
 
そうお伝えした時、患者さんの頭の中には、こんな「諦め」がよぎっているのではないでしょうか。

「週に3回も透析クリニックに通わないといけない」
「仕事を辞めないといけないかもしれない」
「もう大好きだった旅行には行けないんだ」

一般的に「透析」と聞いてイメージされるのは、週に3回クリニックに通い、ベッドで4時間ほど横になって血をきれいにする治療だと思います。これは「血液透析(HD)」と呼ばれるものです。
 
もちろん、血液透析は日本で最も普及している素晴らしい治療法です。しかし、「通院の拘束時間」や「厳格な食事制限」が生活の負担になることがあるのも事実です。透析後の倦怠感で、1日中寝込んでしまう方もいらっしゃいます。
 
そこで、もう一つの選択肢として知っていただきたいのが「腹膜透析(PD)」です。

腹膜透析(PD)は、自分の身体(お腹にある「腹膜」という膜)をフィルターとして使う治療法です。お腹にカテーテルという管を通し、専用の透析液を入れることで、体内の毒素や余分な水分をゆっくりと排出します。緩徐に行う治療なので、体への負担もマイルドなのが特徴です。
 
そして最大の特徴は、「通院が月に1〜2回で済む」ということです。

腹膜透析(PD)を選ぶことで、これまで通りの「あなたらしい生活」を維持しやすくなります。

1.仕事や家事を続けられる
基本的にはご自宅や職場で行う治療です。自分のライフスタイルに合わせてスケジュールを組めるので、現役世代の方も多く選ばれています。実際に当院の患者さんでも、「腹膜透析をすることで、仕事が継続できている」という方がいらっしゃいます。

2.旅行に行ける
透析=旅行不可」ではありません。透析液や器材を宿泊先に送ることで、国内旅行はもちろん、海外旅行を楽しんでいる患者さんもたくさんいらっしゃいます。夫婦での温泉巡りや、お孫さんに会いに行くことも、諦める必要はありません。
 
3.食事制限が比較的ゆるやか
血液透析に比べて、カリウム(果物や生野菜など)や水分の制限が少し緩やかです。「食べる楽しみ」を維持しやすいのも大きなメリットです。

「日中に何度も液を交換するのは面倒…」という方には、APD(自動腹膜透析)という方法もあります。寝ている間に機械が自動で透析液を交換してくれるので、日中の時間は完全にフリーになります。これなら、お仕事をバリバリ続けたい方も導入しやすいですよね。

私は、患者さんに「良い面」だけを伝えて誘導することはしたくありません。大切なのは、メリットもデメリットも理解した上で、納得して選んでいただくことです。
 
1.自己管理が必要
  ご自身で機器を操作したり、カテーテルの出口部を清潔に保つケアが必要です。
「自分でできるかな…」と不安になるかもしれませんが、ご高齢の方でもご家族や訪問看護などの支えがあって継続できているケースは多々あります。
 
2.感染症のリスク
  操作を誤ると、腹膜炎などの感染症を起こす可能性があります。
 
3.治療期間の目安がある
  腹膜の機能には個人差はありますが限りがあります。一般的に8〜10年程度を目安に、機能評価を行いながら継続を判断します。(※現在は医療の進歩により、期間が延びる可能性もあります)

ノンフィクションの話題作『透析を止めた日』(堀川恵子 著)においても、
「もし私たちがあのときドクターから腹膜透析をすすめられていたら、どう判断しただろう(一部改変)」
と触れられています。
しかし、残念ながら日本の現状では、腹膜透析の選択肢を提示されないまま、血液透析を選ばれる患者さんが大半です。しかし、諸外国では透析患者の約20%が腹膜透析を選ばれています。
 
・仕事を続けたい
・腎移植までの待機期間を、日常生活を維持しながら過ごしたい
・最期まで自宅で過ごしたい
 
こうした希望を叶えるための有力な手段が、腹膜透析(PD)なのです。

「定年後は夫婦で温泉巡りをしたい」
「まだまだ現役で仕事を続けたい」
「孫の世話をしてあげたい」

そんな「あなたの人生(Life)」のお話を聞かせてください。
病気(Disease)だけを見るのではなく、その先にある生活をどう彩るか(Color Your Life)
透析は「人生の終わり」ではなく、新しい生活のスタートです。


【参考文献】
– 日本腎臓学会編『CKD診療ガイド2024』
– 日本透析医学会『2009年版 腹膜透析ガイドライン』
– 日本透析医学会『腎代替療法選択ガイド2020』
– 全腎協(全国腎臓病協議会)Webサイト
– 堀川惠子著『透析を止めた日』
 
【執筆者】
部坂 篤(へさか あつし) 吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック 院長 [博士(医学) / 大阪大学医学部附属病院 臨床登録医 / 日本内科学会 総合内科専門医 / 日本腎臓学会 腎臓専門医 / 日本透析医学会 透析専門医 / 日本腹膜透析医学会 腹膜透析連携認定医 / 日本高血圧学会 高血圧専門医]

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