「スイカは腎臓に良い」は本当?|腎臓専門医がカリウムのリスクと安全な食べ方を解説|吹田の腎臓内科 糖尿病内科|吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック

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「スイカは腎臓に良い」は本当?|腎臓専門医がカリウムのリスクと安全な食べ方を解説

「スイカは腎臓に良い」は本当?|腎臓専門医がカリウムのリスクと安全な食べ方を解説|吹田の腎臓内科 糖尿病内科|吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック

2026年4月03日

「スイカは腎臓に良い」は本当?|腎臓専門医がカリウムのリスクと安全な食べ方を解説

はじめに|「スイカは腎臓に良い」と聞いたことはありませんか?

診療中、患者さんからこんなお話を伺うことがあります。
「昔から腎臓病にはスイカが良いと聞くので、よく食べています」
みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

なぜ「スイカは良い」と言われてきたのか

東洋医学の世界では、スイカは腎臓にとって良い食べ物とされ、かつては「腎臓の薬」として重宝されていたようです。
なぜそのような話が現代まで受け継がれているのでしょうか。一説には、スイカが持つ「強力な利尿作用」が関係していると考えられます。
水分含有量:スイカの約90%は水分であり、それだけで尿量を増やす助けになります。
カリウムの力:スイカに含まれる豊富なカリウム(約120 mg/100 g)が塩分(ナトリウム)の排出を促し、体に溜まった余分な水分を外に出してくれます。
この利尿作用が「むくみを取り、血圧を下げる」というメリットとしてクローズアップされ、「スイカ=腎臓に良い」というイメージが定着したのでしょう。

現代医学から見た「注意点」|腎機能が低下している方のカリウムリスク

しかし、ここで非常に重要な注意点があります。この健康効果が安全に発揮されるのは、あくまで腎機能が低下していない方に限られます。
腎機能が低下している場合、カリウムを尿からうまく排出できず、血液中に蓄積してしまいます。血清カリウム値が5.5 mEq/L以上になると「高カリウム血症」と診断され、以下のようなリスクが生じます。
筋力の低下(脱力感)
・手足のしびれなどの神経症状
・不整脈の出現
重症の場合、致死性不整脈に至る危険性
日本腎臓学会の食事療法基準では、CKDステージG3b以降(GFR 45 mL/分/1.73 m²未満)でカリウム制限が推奨されています。目安に関しては以下をご参考ください。

「食べてはいけない」ではなく「摂り方を工夫する」

カリウムはスイカに限らず、多くの野菜や果物に含まれる大切な栄養素です。患者さんからは、
「好きな果物が食べられないなんて悲しい」
「健康のために野菜を食べたいのに、カリウムを気にするなんて……」
という切実な声をよく伺います。
しかし、決して「食べてはダメ」ということではありません。調理法や食べる量を少し工夫するだけで、安心して楽しめるようになります。たとえば、野菜を茹でこぼすことでカリウムは約30%減少します。透析患者さんの場合、スイカの可食部は1日130 g程度が目安とされています。
具体的な工夫については、今後のコラムや当院の栄養相談で詳しくお伝えしていく予定です。

自分の「今」を知ることから始まります

「今の自分はどれくらい食べていいの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
当院では、血液検査で現在の腎臓の状態を詳しく調べるとともに、尿検査の結果から1日に摂っている塩分量やカリウム量を推定することが可能です。まずはご自身の腎臓の状態を正しく把握し、それをベースに具体的なアドバイスをさせていただきます。
詳しくは腎臓内科の診療ページもご覧ください。

美味しい「いろどり」のある食生活を

体に良いとされる食べ物も、お体の状態によっては思わぬリスクになることがあります。私たちは、腎臓病であっても「美味しい、いろどりのある食生活」を諦めず、安心して楽しんでいただけるよう全力でサポートします。
気になることがあれば、自己判断で制限したり無理をしたりする前に、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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【この記事の結論】

腎機能が正常な方にとって、スイカの利尿作用はメリットがあります。しかし、慢性腎臓病(CKD)ステージG3b以降(GFR 45 mL/分/1.73 m²未満)の方は、スイカに含まれるカリウムが排出できず蓄積するリスクがあるため、摂取量の工夫が必要です。

執筆:部坂 篤(へさか あつし)|吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック 院長・腎臓専門医

参考文献
日本腎臓学会 監修『医師・コメディカルのための 慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル』東京医学社, 2015年, ISBN 978-4-88563-259-4.
日本腎臓学会 編『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』東京医学社, 2023年, ISBN 978-4-88563-741-4.
日本腎臓学会 編『CKD診療ガイド2024』東京医学社, 2024年, ISBN 978-4-88563-746-9.
黒川清 監修『腎臓病食品交換表 第9版 治療食の基準』医歯薬出版, 2016年, ISBN 978-4-263-70674-9.
日本腎臓学会『慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版』

よくある質問

Q. スイカは腎臓病でも食べられますか?

腎機能の状態によります。CKDステージG3a以前(GFR 45以上)の方は基本的にカリウム制限は不要です。G3b以降の方は摂取量に注意が必要ですが、量を調整すれば食べることは可能です。主治医や管理栄養士にご相談ください。

Q. カリウム制限はいつから必要ですか?

日本腎臓学会の食事療法基準では、CKDステージG3b(GFR 45 mL/分/1.73 m²未満)から2,000 mg/日以下のカリウム制限が推奨されています。

Q. カリウムを減らす調理法はありますか?

野菜を茹でこぼすことでカリウムを約30%減らすことができます。水にさらす、細かく切ってから茹でるなどの工夫も有効です。果物は生で食べることが多いため、量の調整が基本になります。


※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
※症状には個人差があり、記載内容がすべての方に当てはまるわけではありません。
※具体的な治療方針については、必ず医師の診察をお受けください。

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