2026年7月02日

この記事でわかること
・「減塩しているのに血圧が下がらない」原因になりやすい隠れ塩分の正体
・意外と塩分が多い調味料・加工食品の具体例
・味を落とさず今日から始められる減塩の工夫
「薄味にしているのに、なぜ血圧が下がらないの?」
お醤油を控え、お味噌汁を薄めにし、漬物もやめた。それなのに血圧や腎臓の数値が思うように改善しない――。
実は、「食事には人一倍気をつけています」とおっしゃる方ほど、意外な落とし穴にはまっていることがあります。
日本高血圧学会が推奨する1日の食塩摂取量は6g未満です。しかし、日本人の平均摂取量は約10gと報告されています。この差の多くは、「塩辛い」と感じにくい食品に含まれる隠れ塩分によるものです。
どんな食品に「隠れ塩分」が潜んでいる?
「塩辛くないから大丈夫」と思いがちな食品に、実はたくさんの塩分が含まれています。

調味料の落とし穴
・薄口醤油:「薄口」という名前から塩分も少ないと思われがちですが、実は濃口醤油よりも塩分が多いです。色が薄い分、つい多めに使ってしまう方もいます
・ポン酢・めんつゆ:さっぱりした味わいですが、大さじ1杯で約1.5gの塩分が含まれます。
・ドレッシング・焼肉のタレ:かけすぎると1食で2〜3gの塩分になることも
加工食品の盲点
・食パン:6枚切り1枚に約0.7gの食塩。朝2枚食べると1.4gです。
・ちくわ・かまぼこなどの練り製品:1本あたり約0.6〜1.0g
・加工肉(ハム・ベーコン・ウインナー):保存性を高めるために塩分が多めに使われています。
・カップ麺・インスタント味噌汁:スープまで飲みほすと、1食で5g前後(1日分の目標に匹敵)になることもあります。
吹田市の特定健診などで血圧の指摘を受け、当院を受診された方に食事内容を詳しくお聞きすると、「パンが好きで毎朝食べています」「うどんが多いです」という方が少なくありません。どれもしょっぱくは感じないのに、塩分は着実に積み重なっています。
味を落とさずにできる!今日から使える減塩の工夫5選
減塩を長続きさせるコツは、「我慢」ではなく「置き換え」です。
・出汁をしっかりとる:昆布・かつお・煮干しの旨味が効いていると、塩分を減らしても満足感が出ます。顆粒だしにも食塩が含まれるため、できれば天然の出汁素材がおすすめです。
・酸味・香味を活用する:レモンや酢、しょうが、大葉、ネギなどの薬味を使うと、少ない塩分でも味にメリハリがつきます。
・スパイスやハーブで変化をつける:カレー粉、黒コショウ、バジルなどは塩分ゼロ。洋風の味付けに切り替えるだけで減塩になります。
・「かける」から「つける」に変える:醤油やソースは料理に直接かけず、小皿に出してつける。これだけで使用量が半分近くに減ります。
・栄養成分表示の「食塩相当量」を見る習慣をつける:買い物のときにチェック。1食あたり2g以内を目安にすると選びやすくなります。

高血圧専門医として伝えたいこと
当院の外来では、患者さんに「全部を一度にやらなくていいですよ」とお伝えしています。
「まずお味噌汁を1日1杯に減らしてみましょう」
「2、3日に1回は、朝のパンをごはんに替えてみましょう」
このように、一つずつ段階的に取り組むほうが無理なく長く続きます。
患者さんから「薄味に慣れたら、外食が塩辛く感じるようになりました」という声をいただくこともあります。多くの方が数週間で薄味に慣れていきます。最初の一歩さえ踏み出せば、体は自然に応えてくれます。
あなたの「実際の塩分摂取量」を測定してみませんか?
当院では、尿検査のデータをもとに、「現在、自分が1日に何グラムの塩分を摂取しているか」を簡単にシミュレーション(日本高血圧学会推奨の計算式を利用)することができます。
「普段から外食が多くて塩分が心配」
「自分なりに減塩しているつもりだけど、本当にできているか答え合わせをしたい」
そう思った方は、ぜひ一度ご自身の正確な塩分摂取量を評価してみませんか?
当院の栄養指導の特徴
吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニックでは、管理栄養士による専門的な栄養指導を行っています。
「普段どんな調味料をどのくらい使っていますか?」といった具体的なライフスタイルをお聞きしながら、無理のない減塩プランを一緒に考えます。

また、腎機能(健康診断のクレアチニンやeGFRの数値)が低下している方は、塩分だけでなくカリウムやタンパク質の適切な調整が必要になる場合があります。当院では、腎臓内科の診察と管理栄養士による栄養指導がワンストップで完結するため、検査結果を見ながらその場で具体的な食事相談ができるのが大きな特徴です。
よくあるご質問
Q. 減塩醤油や減塩味噌を使っていれば安心ですか?
A: 通常の製品よりは塩分が少ないですが、「減塩」でもゼロではありません。使う量が増えてしまっては効果が薄れます。量を意識しながら活用するのがおすすめです。
Q. 健診で「腎臓が悪い」と言われました。塩分さえ減らせば大丈夫ですか?
A: 塩分の管理は大切ですが、腎臓病の食事療法はそれだけではありません。タンパク質やカリウムの調整が必要なこともあります。自己判断で極端な制限をせず、主治医や管理栄養士にご相談ください。
Q. 外食が多い生活ですが、減塩は可能ですか?
A: 工夫次第で可能です。麺類のスープを残す、定食では漬物を控える、野菜を多くとる、ドレッシングは別添えにしてもらうなど、小さな積み重ねが効果的です。
まとめ
隠れ塩分は「気をつけているつもり」の方ほど見落としやすいものです。まずは調味料や加工食品に潜む塩分の量を知り、出汁や酸味、スパイスを使った美味しい「置き換え」を少しずつ試してみてください。
「自分の食事のどこを直せばいいのかわからない」「一度プロに食生活を見てもらいたい」という方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
【参考文献】
日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」
厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
【執筆者】
部坂 篤(へさか あつし) 吹田いろどり腎臓・糖尿病内科クリニック 院長
(日本高血圧学会専門医・日本内科学会総合内科専門医・日本腎臓学会腎臓専門医・日本透析医学会透析専門医)
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
※症状には個人差があり、記載内容がすべての方に当てはまるわけではありません。
※具体的な治療方針については、必ず医師の診察をお受けください。